甲状腺腫瘍
Medical information甲状腺腫瘍とは
甲状腺腫瘍を大きく分類すると、良性腫瘍と悪性腫瘍とに分けられ、約90%は良性とされています。
良性腫瘍の代表的なものとしては①腺腫様甲状腺腫、②濾胞腺腫、③甲状腺囊胞などがあり、悪性腫瘍の代表的なものとしては①乳頭癌、②濾胞癌などがあります。
症状
大きくなると前頸部の腫瘤に自分で気付いたり周囲から指摘されたりしますが、自覚症状を認めない場合がほとんどで、近年健診で発見されることが増えています。健診の意識が高まっていること、胸部CTやMRI撮影、PET検査で偶然発見されることが多くなっていることが理由です。最近では頸動脈エコー検査(動脈硬化の診断に有用)時に甲状腺腫瘍が発見されることも増えています。悪性の場合には声のかすれが出現することもあります。
原因
家族性や遺伝を認めるものがあります。また頸部への放射線被ばく歴は甲状腺がんが発生する原因の1つとされています。
治療
触診、血液検査、超音波検査(エコー検査)、穿刺吸引細胞診検査(腫瘤に細い針を刺して細胞を採取し、良性か悪性かを中心に調べる検査)などを行い、治療の方針を決定します。
●良性腫瘍:基本的には定期的な観察(超音波検査)が中心になります。ただし以下の場合には手術の適応となります。
a. 腫瘍が増大しているもの(最大径4~5cm以上を目安とすることが多い)
b. エコー検査で悪性が否定できないもの:腫瘍の内部が充実しており、血流が多く、形状が不整で、石灰化を伴うもの
c. 周囲の臓器を圧迫するもの
d. 美容上観点などより手術を希望される場合
●悪性腫瘍:大部分のタイプで手術が第一選択となります。
先生より
院長 細野研二
プロフィール
・超音波(エコー)ガイド下に行う穿刺吸引細胞診は腫瘍性病変の診断に非常に大切な検査で、特に悪性腫瘍の診断には欠かすことのできない検査です。当院では初診時でも必要に応じて検査を行っております。
・悪性の場合や良性でも上記のような手術の適応となる場合には、手術可能な専門施設へご紹介させていただきます。
・健診などで甲状腺腫瘍を指摘された場合には、お気軽にご相談ください。