耳垢栓塞(じこうせんそく)
Medical information耳垢栓塞(じこうせんそく)とは
耳垢(じこう)により外耳道(耳の入口から鼓膜まで)が閉塞した状態を耳垢栓塞といい、一般的に小児と高齢者に多く認めます。
小児では外耳道が狭いため耳掃除がしにくく、耳垢がたまりやすくなるからです。また高齢者では外耳道の自浄作用(耳垢が自然に耳の外側へと運ばれる作用)が弱くなるため、耳垢がたまりやすくなると考えられています。
※耳垢には乾燥している「乾型」と、アメ耳と呼ばれる粘り気のある「湿型」の2種類がありますが、これは体質(遺伝子)によって決定されます。日本人の場合には70~80%が乾型と言われています。
症状
耳閉感(耳がふさがった感じ)、自声強調(自分の声が響く)、難聴、かゆみが中心です。
水分を含んで膨張し炎症を起こすと、疼痛を生じる場合もあります。
原因
綿棒などで耳垢を奥に押し込んでしまうことが原因となります。
また頻回に耳掃除をしたり、耳が痒くて頻回に触っていたりすると、炎症から耳垢が増え、耳垢栓塞になりやすくなる場合があります。
治療
除去するのが基本です。
ただ硬い場合は耳垢水(耳垢を軟らかくする薬)などの点耳(薬液を外耳道に入れしばらく保持する)で軟らかくしてから除去します。
赤ちゃんに耳掃除は必要?
赤ちゃんの耳の中に黄色の分泌物が見られたり、においに驚かれて受診されることがあります。その原因は「胎脂と耳垢」です。胎脂とは出生の際に赤ちゃんの皮膚を覆っているクリーム状のものです。これが耳の中に溜まって見えることがあります。特に寝返りができるまでは、下になる側の耳の湿度が高くなり、耳漏のように見えたり、においを持ちやすくなると考えられます。
ただ耳垢にも胎脂にも皮膚を守る働きがあるため、無理に完全な除去を目指す必要はありません。見える範囲を赤ちゃん用のオイルやローション等で湿らせた綿棒で優しく掃除していただければ十分です。
先生より
院長 細野研二
プロフィール
・耳垢には外耳道の皮膚を酸性に保ち、皮脂で覆って細菌感染から外耳道を守るはたらきがあります。そのため、あまり熱心に耳垢を取りすぎたり、頻回の水泳などで洗い流されたりすると、この保護作用が失われて外耳炎を起こしやすくなるため、注意が必要です。
・耳掃除の方法について
「乾型」の方は自然に耳から排出されるため、ほとんど耳掃除をする必要がありません。逆に「湿型」の方は奥に溜まりやすい傾向にあり、お風呂上り等に時々「綿棒」を用いて掃除する方がよいと考えられます。どちらのタイプでもいわゆる「耳かき」で頻回に掃除を行うことはお勧めできません。
・「湿型」の方で耳垢を奥に押し込んでしまった場合に、耳垢栓塞となり、ご自身で除去することが困難となります。上記症状が出現した際には、耳鼻咽喉科を受診してください。