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音響性聴器障害(騒音性難聴,音響外傷など)

Medical information

音響性聴器障害(騒音性難聴,音響外傷など)とは

過度に大きな音にさらされると聴覚に障害が生じます。これを「音響性聴器障害」といい、原因となる音の大きさと曝露される時間によって発症の仕方が異なり、「急性障害」と「慢性障害」に分けられます。「慢性障害」は通常「騒音性難聴」と呼ばれ、主に、職場で工場の機械音や工事音などの騒音にさらされることで起こります。一方、「急性障害」は通常「音響外傷」呼ばれ、爆発音あるいはコンサート・ライブ会場などの大音響などにさらされることで起こります。ただ近年は、ヘッドホンやイヤホンで大きな音を聞き続けることで生じる「音響外傷」による「慢性障害」が増えており(「ヘッドホン・イヤホン難聴」と呼ばれます)、特に問題視されています。

症状

一側または両側の難聴(程度は様々)、耳閉感、耳鳴が生じます。時に耳痛やめまい症状を伴います。

原因

われわれが耳にする音は、「音波」と呼ばれるように、空気の振動であり、機械的なエネルギーをもっていますが、音を感じる神経細胞の末端(受容体といいます)は、干からびないように、液体の中(リンパ液中)に存在し、また聴覚中枢には電気的エネルギーで伝わるため、液体にもしっかり機械的なエネルギーが伝わる仕組み(中耳の役割)と、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する仕組み(内耳の役割)の両方が必要になります。
具体的には、耳に入った音は、外耳道を通過し鼓膜を振動させ(機械的エネルギー)、その振動が中耳の耳小骨を介して内耳に伝わり、電気信号に変換された後、脳に伝わることで聞こえる仕組みになっています。この物理的な機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するのが、内耳の蝸牛(かぎゅう)にあるコルチ器官で、最終的には「有毛細胞」という感覚細胞が電気的エネルギーを発生させており、この電気信号が神経を介して脳に到達します。


図1中耳伝音系の仕組み

図1 耳伝音系の仕組み(文献1より引用)


図2蝸牛の模式図
図2 蝸牛の模式図(文献2より引用)



この「有毛細胞」は、100dB(デシベルと読みます)以上の大音響では急な障害を受けることがありますが、暴露時間が短い場合には一過性の聴力低下が生じても比較的速やかに回復する傾向にあります。しかし85dB以上の騒音に長時間連続的に暴露されたり、不連続でも繰り返し暴露されたりしていると、音の大きさや質、暴露時間に比例して、「有毛細胞」は傷害され壊れてしまうことが知られています。有毛細胞が破壊されると、元に戻ることはなく、永久的な難聴につながります。WHOは、「80dBで1週間当たり40時間以上、98dBで1週間当たり75分以上聞き続けると、難聴の危険がある」と警告しています。
急性の障害は、事故で生じる爆発音や、ハンマー、削岩機、銃器の使用による音、コンサート等での大音響が原因となります。
一方、慢性の障害は、騒音下作業について5~15年の間に比較的急激に悪化し、その後はごく緩やかに進行していきます。当初は4000Hz(ヘルツ)付近の周波数に限局した聴力低下が生じることも特徴です。職業的には、製材や製鉄等の工場、造船所、鉄道などの整備員など特定の職場の人に勤務年数に比例して増加します(職業性難聴)。

具体的な音の大きさや種類は下の表に示す通りです。日常生活の中は難聴のリスクになる環境や騒音があふれており、大きな音になれば短時間でも難聴を引き起こすリスクが高くなります。

表1 WHOが定める1日当たりの音圧レベルの許容基準と、目安となる音の種類
表1 WHOが定める1日当たりの音圧レベルの許容基準と、目安となる音の種類
(一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会「Hear well, Enjoy life」より引用)


また、近年はスマホやポータブルオーディオプレイヤー、ゲーム等の普及により、大音量の長時間暴露による難聴「ヘッドホン・イヤホン難聴」が問題となってきています。特に屋外での使用時には、電車の中など周囲が騒がしくなると音量を上げる傾向があり、10代から続けていると30~40歳代で難聴が生じる可能性が指摘されています。



治療

急性の障害は、受傷後早期に治療を開始すれば聴力が改善することも少なくありません。治療は突発性難聴の場合と同様に、内服や点滴のステロイド剤による薬物療法が中心になります。ただ発症から1週間を経過すると治療効果が低下するため、症状出現後は早めに受診されることがお勧めです。
慢性の場合には、急性の障害と異なり治療方法はありません。職場(衛生管理者や産業医)と相談し、騒音下の作業時間を短縮する、または騒音自体を低減できるようにするなど、職場環境の管理・改善に取り組むことが望まれます。進行を遅らせるために可能な範囲でイヤープロテクターや耳栓を装用することも方法です。またコミュニケーション障害を認める場合には補聴器装用を開始します。さらに職場での定期的な健康診断(聴力検査)を受け、聴力の管理を行うことも大切です。

▼併せて読む
コラム「ヘッドホン・イヤホン難聴とは?

参考文献


1) F.R.Winton and L.E.Bayliss : Human physiology 5th Edition. J.&A.CHURCHILL LTD : 572,1968.
2) 村越道生 : 三列に並ぶ外有毛細胞の役割とその分子構造. 音響学会誌 73 : 662-669, 2017.
3) 仲野敦子 : 子どもとメディア ~聴力への影響~. 日小児科医会報 53 : 39-42, 2017.
4) World Health Organization : 1.1 billion people at risk of hearing loss. 2015. (https://www.who.int/vietnam/news/detail/10-03-2015-1.1-billion-people-at-risk-of-hearing-loss)

先生より

院長 細野研二

プロフィール

〇コンサートやライブに行った後から耳鳴や耳閉感が続くような場合、早めに耳鼻咽喉科を受診し聴力検査を受けられることをお勧めします。
〇騒音環境に思い当たる方で、特に急な耳鳴が気になるときは、聴力障害の前兆の可能性があり耳を休めることも大切です。
〇耳の不調や違和感などが気になる場合には、当院へお気軽にご相談ください。

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耳鼻咽喉科・アレルギー科 ほその耳鼻咽喉科

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