コラム
Column
2026/06/30
慢性的な耳鳴りでお困りの方へ 治験のご案内
耳鳴とは?
耳鳴は、明らかな体外音源がないにもかかわらず感じる異常な音感覚と定義されます。その有病率は全人口の15~20%とされ、65歳以上の高齢者では30%以上が耳鳴で苦痛を感じているといわれています。今後さらなる高齢化や社会環境の変化によるストレスにより、耳鳴患者はますます増加することが予想されます。重度の耳鳴はうつ・不安・不眠などの精神障害を伴いやすく、高齢者の認知機能に影響することも指摘されており、その対応は耳鼻咽喉科の中でも重要な課題となっています。
耳鳴の治療法は?
慢性の耳鳴に対する治療は、「耳鳴そのものに対する治療」と「耳鳴の苦痛に対する治療」とがあります。一般的な外来では、聴力検査などを行った後、聴こえの仕組み、器質的疾患の有無、耳鳴発生のメカニズム、耳鳴増悪のメカニズム、治療方法、治療目標などについて説明します(耳鳴の教育的カウンセリングといいます)。そして必要に応じて投薬治療も行います。主にビタミン製剤、血流改善薬、血管拡張薬、抗不安薬、漢方薬などが使用されます。
しかしながら、現在の医学では耳鳴りをすぐに止める特効薬はありません。
そのため耳鳴の苦痛に対する治療として心理療法(精神療法)なども大学病院等の耳鳴専門外来で行われており、その中でも特に「認知行動療法」が有望な耳鳴治療アプローチとして近年注目されています。
そして今回、耳鳴の新しい治療、「医療用」のアプリを用いた治療法の治験が開始されます。
医療用アプリ・治験とは?
現在、医療の世界では、飲み薬や注射だけでなく、医師の診察や処方のもと、アプリを用いて病気を治療・管理する新しい試みが始まっています。これは、医師によって処方される「医療用」 のアプリで、新薬の開発と同じように、国から正式な治療法として認められるためには、実際の活 用状況や効果を確認するテスト(治験)を行う必要があります。
この「治験」は「医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令」という規則に定められた要件を満たした病院で行われます。
今回、この耳鳴の「治療補助アプリによる耳鳴の治験」に、当院でもご参加いただけることになりました。
現在、当院では治験にご参加いただける方を募集しています。
募集期間
2026年7月~11月
参加期間
約20週間
対象
安全かつ正確に治験を進めるため、以下の条件を満たす方を対象としております。
- 18歳以上75歳未満の年齢層の方
- 耳鳴の症状を自覚されてから4年未満の方
- 4週に1回程度のペースで通院が可能な方
- 一定以上の症状がある方(軽度の場合は対象外となります)
上記の他にも基準がありますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
※耳鳴でお困りの方全員のお気持ちにお応えしたいところではございますが、詳細な適合基準や医師の診断により、最終的にご参加いただけない場合がございます。せっかくお申し出をいただきながらご希望に添えない可能性もありますことを、深くお詫び申し上げますとともに、何卒ご容赦いただけますようお願い申し上げます。
※詳しくはポスターをご覧ください

参考文献
1.日本聴覚医学会編 : 耳鳴診療ガイドライン2019年版. 金原出版, 2019
2.Elizabeth Bader, Elizabeth Dinces, Howard S Moskowitz, et al. : Is Cognitive Behavioral Therapy Effective for Tinnitus? Laryngoscope 135 : 2231-2232, 2025





















