コラム
Column
2026/07/27
良性発作性頭位めまい症(BPPV)|Q&Aと院長解説
当院で実際に診察・治療を受けられた患者様から寄せられた、代表的なご質問をご紹介します。
症状には個人差がありますので、気になることがあればお気軽に診察にお越しください。
Q1.朝起き上がったときだけグルグルするのですが、良性発作性頭位めまい症(BPPV)でしょうか?
起き上がり・寝返り・上を向いたときなど、頭を動かした瞬間に数秒〜1分以内のグルグルしためまいが起きる場合、良性発作性頭位めまい症(BPPV)の可能性があります。ただし、同じような症状でもメニエール病や脳の病気が原因のこともあります。自己判断せず一度耳鼻咽喉科を受診されることをお勧めします。
Q2.良性発作性頭位めまい症(BPPV)は薬で治りますか?
良性発作性頭位めまい症(BPPV)で生じる回転性(天井や景色が回る)めまい発作は薬では根本的に治せません。ただ回転性めまい発作が起こっていない時でも、ふわふわした感じ(浮遊感)や乗り物酔いしている感じ、吐き気、めまい発作に対する不安感(いつめまい発作が起こるか分からず怖い)が続くことも多く、このような場合には対症療法として薬を処方することがあります。
Q3.良性発作性頭位めまい症(BPPV)が続く場合、どうやって治しますか?
良性発作性頭位めまい症(BPPV)診療ガイドラインでは、リハビリ運動(めまい体操)を続けることが勧められています。医師の指導のもとで積極的に頭を動かすリハビリ(体操)を行うことが早期回復の鍵となります。
Q4.良性発作性頭位めまい症(BPPV)の頭位治療(従来の理学治療)とは?
BPPVの病因が半規管内(またはクプラ)の耳石であるとの考えから、原因となる半規管が特定できる場合には、頭部の運動により耳石を半規管内から元の位置(耳石器)に移動させる頭位治療が有効とされています。
頭位治療は耳石置換法とも呼ばれ、耳石が迷入した半規管に応じた特異的な方法が存在し、後半規管型BPPVに対する耳石置換法にはEpley法(エプリー法)やSemont法(セモン法)とよばれる方法があり、外側半規管型BPPVに対してはLempert法(レンパート法)やGufoni法(グフォニ法)とよばれる方法があります。
ただ頭位治療施行時には、めまいが誘発され、強い吐き気などの症状を伴うことがあるため注意が必要です。
Q5.良性発作性頭位めまい症(BPPV)と診断されました。日常生活で気をつけることはありますか?
急性期は転倒に注意し、高いところの作業・自転車・車の運転は控えてください。めまいが起きやすい動作(寝返り・うつ伏せ・上を向く動作など)は意識的にゆっくり行いましょう。なお、安静にしすぎるより適度に頭を動かすほうが早く回復するとも言われています。
Q6.良性発作性頭位めまい症(BPPV)は繰り返しやすいと聞きました。再発を防ぐ方法はありますか?
良性発作性頭位めまい症(BPPV)は再発率が高い病気で、1年以内に約15〜50%の方が再発するとされています。予防のポイントは以下の通りです。
- ビタミンDを意識的に摂る(日光浴・魚・きのこ類)
耳石の剥離を防ぐ効果が報告されています - 骨粗しょう症の管理
特に閉経後の女性はBPPVとの関連が深いとされています - 睡眠・ストレスを整える
過労や睡眠不足が引き金になることがあります
再発時は早めの受診が回復を早めます。
Q7.めまいがつらくて横になって安静にしていたら、ふらつきが続くようになりました。これは良性発作性頭位めまい症(BPPV)のせいですか?
長期間の安静はめまいの改善を遅らせることがあります。内耳の機能は「実際に動くこと」で脳が慣れていくため、過度な安静は逆効果になる場合があります。これを「廃用性めまい」と呼ぶこともあります。ふらつきが続く場合は、良性発作性頭位めまい症(BPPV)の再確認と適切なリハビリ指導のために受診をご検討ください。
解説
●良性発作性頭位めまい症(BPPV)は末梢性めまい疾患の中で最も頻度の高い疾患です。耳石は自然融解するといわれており、症状は1-3週間で自然に改善することが多いとされています。
●良性発作性頭位めまい症(BPPV)の病態として、耳石器から剥離・脱落した結石(耳石)が半規管内に迷入した半規管結石症と、結石が半規管膨大部のクプラと呼ばれる場所に付着したクプラ結石症が考えられています。また半規管には前半規管、外側半規管、後半規管の3 種類が存在します。検査にて特徴的な所見を認める場合など、原因となる半規管の部位やタイプ(半規管結石症orクプラ結石症)が特定できることがあるため、めまい症状が強い場合や長引く場合には早めの耳鼻咽喉科受診をお勧めします。
●良性発作性頭位めまい症(BPPV)を繰り返す場合、耳石の主な構成成分であるカルシウムの代謝異常が隠れている場合があります。近年、骨粗鬆症やビタミンDの欠乏との関係も報告されています。
参考文献
1)日本めまい平衡医学会編:良性発作性頭位めまい症(BPPV)診療ガイドライン2023年版. 金原出版, 2023.
2)von Brevern M, Bertholon P, Brandt T, et al: Benign paroxysmal positional vertigo:Diagnostic criteria. Vestib Res 25:105‒117, 2015.
3)Epley JM : The canalith repositioning procedure : for treatment of benign paroxysmal positional vertigo. Otolaryngol Head Neck Surg 107 : 399-404, 1992.
4)Gufoni M, Mastrosimone L, Di Nasso F : Re positioning maneuver in benign paroxysmal vertigo of horizontal semicircular canal. Acta Otorhinolaryngol Ital 18: 363-367, 1998.
5)Jeong SH, Lee SU, Kim JS : Prevention of benign paroxysmal positional vertigo with vitamin D supplementation : A randomized trial. Neurology 269 : 619-626, 2022.





















