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PCを用いた講演

鼻アレルギー診療ガイドライン 2020年版(最新版) について

先日、ある製薬企業様よりご依頼いただき、社内研修会(医療情報担当者向け)にてアレルギー性鼻炎についての講演(Web)を行いました。テーマは「鼻アレルギー診療 -2020年版診療ガイドライン改訂のポイントから治療の実際まで-」についてです。

今回、このガイドラインについて少し触れたいと思います。

鼻アレルギー診療ガイドライン ―通年性鼻炎と花粉症―」は第1版が1993年に刊行され、以後、医学や薬学の新知見などをもとに,1995年(第2版)、1999年(第3版)、2002年 (第4版)、2005年(第5版)、2008年(第6版)、2013年(第7版)、2016(第8版)と改訂が積み重ねられ、2020年には改訂第9版が刊行されました。

2016年版(第8版)では、治療の項目にて、自然経過に関する説明、舌下免疫療法の実際、鼻憤霧用ステロイド薬による初期療法の勧奨など治療法選択の見直し、薬物相互作用など実務薬学的な解説、授乳婦に対する薬物の安全性の紹介、好酸球性副鼻腔炎や口腔アレルギー症候群といった合併症への対応などが追加されました。特に舌下免疫療法については、この2016年版より明記され、その後広く行われるようになりました。

 

今回講演にあたり最新のガイドラインを再読した結果、2020年版(第9版)の主な変更点は、以下の3点と考えます。

(1)スギ花粉症の治療で生物学的製剤(抗IgE抗体薬)が明記された点

(2)手術治療の項目で、内容の変更や追記が行われた点

(3)その他の項目で、「高齢者」に対する方針や考え方が示された点

順番に少し解説させていただきます。

(1)スギ花粉症の治療で生物学的製剤(抗IgE抗体薬)が明記された点

2020年より、内服薬や点鼻薬を続けても効果が乏しい重症のスギ花粉症の患者様には、アレルギーの原因となるIgEという物質に対する抗体薬である「ゾレア®」という注射薬を、保険にて使用できるようになっています。体重や血液中の総IgE値によって、投与量や注射の間隔には個人差が生じますが、月に1-2回の治療にて重症の方の症状をかなり軽減することができる薬剤です。ただ血液検査にてスギ花粉抗原に対する抗体がクラス3以上の方が対象となります。また12未満の小児には適応がありません。高い効果が期待できる薬剤ですが、その分費用は高額で、3割負担の方で月に約5千円~7万円となります(体重と血液検査の結果によって決定されます)。注射の期間はスギ花粉が飛散する2月~4月です。もちろん高額療養費制度などは適応されますので、希望される場合にはご相談ください。

この「ゾレア®」という注射薬は、気管支喘息等ではすでに国内でも広く使用されている薬剤ですので、安全性は十分に評価されています。

眠気の副作用がありませんので、受験生の方や仕事で車を運転される方などでも安心して受けていただくことができます。

(2)手術治療の項目で、内容の変更や追記が行われた点

アレルギー性鼻炎の手術治療としては以下の3つが記載されています。

(ⅰ)鼻粘膜の縮小と変調を目的とした手術(鼻粘膜変性手術)

一般的に下鼻甲介粘膜焼灼術と呼ばれるもので、基本的に非観血(出血しない)、表面麻酔で行うため日帰りで対応可能です。電気凝固や超音波メス凝固が用いられることもありますが、当院では最も一般的な炭酸ガスレーザーを用いております。

(ⅱ)鼻閉の改善を目的とした鼻腔形態改善手術

鼻腔の形態自体を変えてしまう手術で、骨や粘膜を切除する方法です。現在は内視鏡下に行うことが一般的です。具体的には、粘膜下下鼻甲介(骨)切除術、下鼻甲介粘膜切除術、鼻中隔矯正術などがあり、所見に応じて組み合わせて行われます。

(ⅲ)鼻漏の改善を目的とした手術

鼻腔後部の蝶口蓋孔で、蝶口蓋動脈に伴走している神経線維を切断する手術で、後鼻神経切断術(経鼻腔的翼突管神経切断術)と呼ばれます。この神経を選択的に切断することにより、鼻汁分泌の抑制や、くしゃみ・掻痒感などの軽減が期待されます。実際、総合病院に勤務している時に多くの手術を担当させていただきましたが、上記の(ⅱ)と組み合わせて行うことで高い効果が得られておりました。

(3)その他の項目で、「高齢者」に対する方針や考え方が示された点

近年高齢者においても花粉症が増加していることが示されています。また正常な加齢現象として水様性の鼻水が増え(老人性鼻漏)、アレルギー性鼻炎と症状が類似する疾患の頻度が高くなるため、アレルギー性鼻炎の鑑別がより重要であることが記載されています。さらに高齢者では基礎疾患が多く、服用されている薬も多い傾向にあるため、治療時には薬の飲み合わせに注意が必要となるうえ、腎臓や肝臓に障害を持っておられる場合には影響を与えにくい薬を選択することが望まれます。

 

当院では、ここまで書かせていただいたことを念頭に置いて、患者様おひとりおひとりの症状や所見、ご希望等に沿って治療方法をご提案させていただいております。アレルギー性鼻炎や花粉症でお悩みの場合には、当院へお気軽にご相談ください。

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