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2021/01/27

補聴器の現状と当院補聴器外来について

日本は2007年に65歳以上の人口が21%を超え、超高齢化社会に突入し、内閣府発表2018年版高齢白書によると、高齢者率は現在27.7%とさらに増加し、今後40%近くまで上昇する見込みとされています。高齢化の影響もあり、難聴者数も増えており、補聴器の需要は近年急速に高まっているものの、日本補聴器工業会調査による「Japan Trak 2018調査報告」によると、日本では難聴者のうち補聴器を装用しているのは14%に過ぎず、難聴に気付いてから購入までに平均4-6年かかっているとされています。海外と比較すると、著しく低い導入率であり、日本において「適切な補聴器導入、装用」を広めていくことが耳鼻咽喉科医の役割、つまり当院の役割であると考えています。

日本国内における補聴器購入や装用の実態

日本において一般の人々が聞こえの不自由さ(難聴)や補聴器についてどのように考えているか、補聴器の使用状況はどうなっているかなどについて大規模な実態調査が定期的に行われており、その最新版が「Japan Trak 2018 調査報告」です。全部で104ページにおよぶ詳細で膨大な報告ですので、重要と思われるところを中心にまとめました。

 

Japan Trak 2018調査報告書

(一般社団法人日本補聴器工業会主催。公益財団法人テクノエイド協会後援、EHIMA(欧州補聴器工業会)協力。)

難聴・補聴器に関する国内の大規模調査レポートです。

<目的>
日本における聞こえと補聴器を取り巻く諸問題を抽出し、欧米諸国と比較し、全難聴者の生活の質 (QOL)の向上に寄与する対策を検討すること。

<対象者>
総サンプル数13,710名、うち難聴者1,306人(補聴器所有者421人、非所有者885人)

<自己申告による難聴者率について>
全体 : 11.3 % , 18歳以上 : 13.2%

<両耳難聴者の補聴器所有の割合について>
補聴器所有者 : 80% , 補聴器非所有難聴者 : 56%

<補聴器所有率 (普及率)について>
全体 : 14.4% 18歳以上 : 14.2%

<補聴器所有者について>
難聴者の約14% が補聴器を所有、そのうち45%が両耳装用

<補聴器の満足度について>
補聴器所有者の66%が期待通り、あるいは期待以上に役に立っていると回答、残りの34%は期待以下と回答しています。つまり3人に1人は不満を抱えていることになります。補聴器の全体的満足度は38%で、過去と比べても比率に大きな変化は見られない結果でした。

<補聴器の購入について>
インターネット(通販)で購入された補聴器(集音器を含む)については、7 割を超える購入者が不満足と感じている結果でした。しかし価格・注文の容易さ等から許容範囲内にあると考えている傾向にありました。一方、補聴器販売従事者(≒補聴器技能者)によってフィッティングされ販売された補聴器では、より高い満足度が得られている結果でした。

日本の補聴器市場の特徴として以下のように述べられています (補聴器購入者の満足度について以下の切り口から調査結果を基に分析)。

【購入場所(購入方法)】
• 補聴器専門店で購入された補聴器は、他の場所(方法)で購入された補聴器のどれよりも高い全体的満足度が得られている。
対面販売ではないインターネットを介して購入された補聴器(集音器を含む)は、7割を超える購入者が不満足さを感じている。

【両耳装用】
• 片耳装用者の多くは、片耳装用と両耳装用の効果は同じであると考えている。
• しかし一方、全体的満足度の高さ、一日当たりの使用時間の長さ、いわゆる“タンス補聴器”の比率の低さにおいて、両耳装用は片耳装用を凌駕している

【フィッティング】
• 集音器や通販補聴器を所有する難聴者は、価格、注文の容易さ等の条件に照らし自分が購入した機器は許容範囲内にあると考えている。
• しかし一方、補聴器販売従事者によってフィッティングされ販売された補聴器は、より高い全体的満足度が得られている

補聴器の調整について

専門的には補聴器を導入・調整することを補聴器フィッティングと言います。衣類を購入する前に試着するのと同じような感覚です。その目的を当院では「難聴により日常生活で困っておられる患者様の聞き取りを改善させ、生活の質(QOL)を向上させる」ことと考えております。

そのためには補聴器によって「残っている聞こえの力を最大限に引き出す」ことが重要です。ところが補聴器を装用すると、今まで聞こえなかった状態から急に音が聞こえるようになり、また音が大きく入ると必要のない雑音や周囲の環境音も聞こえるようになるため、当初は不快感が強くなります。この不快感に慣れるためには再調整を行いながら装用を継続することが大切で、通常2-3か月でかなり慣れることができます。不快感を軽減させるために音を下げるような調整を続けると、聞き取りが悪くなり、不快ではないが大して聞こえない補聴器(タンスに置いたままの補聴器“タンス補聴器”)となってしまいます。

当院補聴器外来では、医師が補聴器の必要性を判断し、患者様が希望された場合に、最低でも約2か月程度の無料貸し出し期間を設け、補聴器技能者とともに補聴器フィッティングを行います。また貸し出し期間終了前には補聴器適合検査を行い、目標とするレベルに到達しているかどうかを確認します。これにより「使ってもらえる」「なくてはならない」補聴器になると考えています。

補聴器と福祉医療、医療費控除について

①福祉医療について

身体障害者手帳が交付された方については補聴器の費用支援制度の対象となります。補装具費の支給は障害者総合支援法による自立支援給付の一つとして位置づけられ、原則として基準額の1割を利用者が負担する形となります(定率負担)。補聴器の基準額の例として、高度難聴用耳掛け型(障害等級4級、6級相当)で43,900円(1割負担で4,390円)、重度難聴用耳掛け型(障害等級2級、3級相当)で67,300円(1割負担で6,730円)などがありますが、所得に応じて月額負担上限も定められています(応能負担)。

※身体障害者の障害程度等級表 抜粋 (聴覚障害:身体障害者福祉法)

  • 2級:両耳の聴力レベルが100デシベル以上
  • 3級:両耳の聴力レベルが90デシベル以上
  • 4級:両耳の聴力レベルが80デシベル以上
    両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50%以下のもの
  • 6級:両耳の聴力レベルが70デシベル以上
    一耳の聴力レベルが90デシベル以上、他耳の聴力レベルが50デシベル以上

当院では上記身体障害の判定が可能です。また障害の聴力レベルに相当する場合には、当院にて身体障害者手帳の交付申請に必要な診断書・意見書を記載させていただきます(この診断書・意見書については、都道府県知事、指定都市市長又は中核市市長が指定する医師のみが記載できることになっております)。

 

②医療費控除について

2018年になってようやく補聴器が正式に医療費控除の対象となりました。それまで多くの患者様から「補聴器は医療費控除の対象ですか?」と質問されるたびに、「対象ではありません」とお答えするしかなく心苦しく思っておりましたので、難聴の方にとっては朗報かと思います。ただし申請すれば必ず医療費控除を受けられる訳ではありません。

これについては、国税庁の見解が以下のように発表されています。

補聴器の購入費用に関わる医療費控除の取扱いについて

「補聴器が診療等のために直接必要か否かについては、診療担当医師の判断に基づく必要があるため、一般社団法人耳鼻咽喉科学会が認定した補聴器相談医が、「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」により、補聴器が診療等のために直接必要である旨を証明している場合には、当該補聴器の購入費用(一般的水準を著しく超えない部分の金額に限る)は、医療費控除の対象になる。」

(国税庁HPより抜粋・一部改変:

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/180416/index.htm)

つまり、補聴器相談医が「医師等による診療や治療を受けるために直接必要」と判断し、補聴器購入にあたり認定補聴器専門店へ情報提供を行った場合に限られます。

そのため、補聴器の購入を検討される場合には、補聴器相談医の診察を受けられることをお勧めします

当院補聴器外来では認定補聴器専門店より専門の技能者に来ていただいているため、補聴器相談医が診察させていただき、補聴器を希望される場合には院内で情報提供まで行うことが可能です。医療費控除の申請を希望される場合には、遠慮なくご相談ください。

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