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2025/07/02

夏の花粉症の原因-イネ科の花粉とは-

花粉症の原因となる植物

アレルゲンとしての花粉を飛散させる植物は「木本類」と「草本類」に大きく区別され、木本類としてはヒノキ科であるスギやヒノキ、カバノキ科であるシラカバやハンノキなどが、また草本類としてはイネ科のカモガヤやオオアワガエリ、キク科のブタクサやヨモギなどが広く知られています。

イネ科花粉とは

スギ花粉の飛散が終わった初夏から花粉症の原因になるのは主にイネ科植物です。一般的に「雑草(grass)」とも呼ばれるもので、大量の花粉を放出するため世界的に花粉症の原因になっています。「イネ科」花粉症はその中でも欧州に多く、北米の「ブタクサ」、日本の「スギ」と合わせて世界の三大花粉症とされています。
よく植生しているイネ科花粉アレルギーの原因植物は、オオアワガエリ(Timothy)やカモガヤ(Orchard grass)です。もともとオオアワガエリやカモガヤは明治時代に牧草として輸入されたもので、寒さに強く繁殖力があることから、現在は広く野生化しています。
最近の研究によると、国内でイネ科花粉にアレルギーを示す方の割合は増加傾向にあります。前述の調査において草本花粉の捕集数には著しい変動を認めないため、近年イネ科花粉に接する機会が増えていることが推測されます。その一因として住宅や職場が郊外へ移転してきたことが指摘されています。

生息場所

イネ科の植物は、道路脇や空き地、公園、草地、河川敷、畑や田んぼのまわりなどに広く生息しています。通勤・通学で川沿いを歩いたり自転車で走ったりされる方は、比較的イネ科花粉症の症状を認めやすい印象です。

カモガヤ

○カモガヤ

ヨーロッパ原産の多年草で、オーチャードグラスとも呼ばれています。

繁殖力・環境適応力ともに強く、各地で野生化して繁茂しています。道路の緑化植物としても使用されています。草丈は60㎝〜120㎝程度、緑色の葉は線形で長く、枝の先に小さな白っぽい花が集まって咲きます。開花期の穂は雄しべの葯(花粉が入る袋)が多数ぶら下がり、揺すると煙のように大量の花粉が立ち上ります。毎年4月末~7月を中心に花粉症の原因になります。

ハルガヤ

○ハルガヤ

牧草として利用され、春から初夏にかけて花粉を飛散させます。

オオアワガエリ

○オオアワガエリ

野原や道路沿いによく見られる雑草の一種。春から夏にかけて花粉を飛散させます。

飛散時期

1986年からの厚生省(現厚生労働省)の全国空中花粉調査によると、イネ科花粉は3月上旬〜7月上旬と、7月下旬〜11月上旬の二峰性に飛散します。また春咲きイネ科花粉のピークは北海道で6月、東北・北陸で5月下旬〜6月上旬、西日本では4月下旬〜5月中旬に認められ、 秋咲きイネ科は多くの地域で9~10月にピークとなります。このようにイネ科花粉は非常に長い間飛散しており、症状が持続するのが特徴です。

花粉の飛散距離

イネ科花粉は遠くまで飛んでいきません。スギ(飛散距離は100kmともいわれます)やヒノキ花粉と比較すると、イネ科花粉の飛散距離は短い(数十~数百メートル)ため、草本類の花粉症になるかどうかは、周囲の植生環境の影響を強く受けることが分かっています。またイネ科植物の花粉は1日のうち午前中に大半が飛散することが分かっており、飛散のピークは8~10時です。ただ午前中の気温が低く、午後から上がったときは午後の飛散が増えることもあります。

予防法

花粉の飛散距離が短いため、近づかないことが大切です。

治療

スギ花粉症に対してはスギ舌下免疫療法も保険適応となっており、根治的な体質改善(治療)が可能となっていますが、イネ科花粉については現在のところアレルギー薬による一般的な治療しかありません。ただし、海外においてはイネ科花粉に対しても舌下免疫療法が広く行われており、今後日本での普及も期待されています。

イネ科花粉に対する舌下免疫療法

海外においてはイネ科花粉に対して舌下免疫療法がすでに広く行われており、以前より日本での普及も期待されてきましたが、2025年ようやく日本でのイネ科花粉症に対する舌下免疫療法の治験が開始されます。

今回、このイネ科花粉症の舌下免疫療法の治験に当院も参加させていただくこととなりましたので、現在新しいお薬(舌下剤)の治験にご参加いただける方を募集しています。

募集期間は2025年6月~12月となっています。
ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

 


参考文献

●岸川 禮子, 児塔 栄子, 押川 千恵ら:花粉抗原からみる日本列島の空中花粉長期調査結果―我が国の重要な草本花粉抗原の地域性と年次変動―. アレルギー 68 : 1221-1238, 2019.
●岸川 禮子, 児塔 栄子, 押川 千恵ら:我が国の重要な花粉抗原の飛散期間. 花粉誌65 : 55-66, 2020.
●堀向健太:雑草花粉. 日小ア誌 33 : 749-757, 2019.

 

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