コラム
Column2024/10/21
マイコプラズマ肺炎が8年ぶりに流行しています
当院でもマイコプラズマ肺炎の迅速検査を受けていただけるようになりました。
マイコプラズマ肺炎とは?
「肺炎マイコプラズマ( Mycoplasma pneumoniae )」という気管支炎や肺炎の原因となる細菌に感染することによって生じる呼吸器感染症で、小児や若者で肺炎の原因の一つとなります。約8割が14歳以下と報告されており、5~14歳の子供と若年成人に発症が多く、季節的には1年を通してみられますが冬に多い傾向があります。
症状
発熱、全身倦怠、頭痛、咳などを認めます。咳は少し遅れて始まることもありますが、徐々に強くなり、その後長く続くことが特徴的です(3~4週間)。多くは気管支炎のみで症状は軽度ですが、中には肺炎になってしまう場合もあります。
感染経路
インフルエンザなどと同様、感染者の咳を吸い込んだり、濃厚な接触を行ったりすると感染します。そのため家庭だけでなく、学校でも感染が拡大する場合があります。また潜伏期間(感染してから発病するまでの期間)が通常2~3週間と長いため、感染経路が特定できず感染が拡大しやすい傾向にあります。
検査
迅速検査や血液検査、画像検査を組み合わせて診断を行いますが、残念ならがいずれも100%判別できるものではありません。インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスと同様、マイコプラズマにも迅速抗原検査キットがあり、15分程度で結果を判定できますが、検査の感度が60-80%と前述の感染症よりやや低いこと、発病初期には検出されにくいことが問題になります。そのため迅速検査で陰性の場合には、同時に血液検査も行い、白血球数やマイコプラズマ抗体価などの測定を行うこともあります。さらに肺炎が疑われる場合には、肺炎の有無や重症度を評価するために、内科や小児科などでレントゲン検査やCT検査を受けていただくことが必要になる場合もあります。
治療
マイコプラズマ感染症は基本的に自然治癒する疾患であり、軽症の場合には必ずしも抗生剤の治療は必要ではありません。症状が強い場合にはまずマクロライド系抗生物質を内服し、経過を観察します。
一般的には、熱や咳がでて2~3日解熱しないときや1週間以上痰の絡んだ咳がつづくときにマイコプラズマを疑い検査や抗生剤を開始します。
登校、登園
マイコプラズマ肺炎では、明確な基準はなく、熱がなく、咳がある程度改善し体調が改善してきた時点で可能になります。ただ、運動等により咳が出やすいことがありますので、1週間程度は運動を控えていただくことがあります。
マイコプラズマの流行状況
今年2024年は近年にない流行をきたしており、図1、図2に示す通り、大阪府でも2016年以来の高い感染報告数となっています。
マイコプラズマ肺炎はこれから冬にかけてさらに流行する可能性が指摘されており、熱が下がらず咳が続く際には早めに医療機関へ受診されることをお勧めします。
当院でもマイコプラズマ肺炎の迅速検査を受けていただけます。検査を希望される場合など、お気軽に当院までご相談ください。